友達にこのドラマ面白いと紹介されて見始めた、Netflixのミニシリーズ、「Halston」を昨日やっと最後まで見ました。



このドラマは70年代に国際的な名声を上げた実在するアメリカ人ファッションデザイナー、ロイ・ホルストン・フローイック(Roy Halston Frowick)の成功と転落を描いた全5話のミニシリーズです。


ホルストン本人の写真。とてもハンサムな同性愛者のデザイナーです。ちなみにホルストン役はユアン・マクレガーが演じています。

70年代~80年代のニューヨークは、私の憧れの時代です。アンディーウォーホールやバスキアがアート界を賑わせ、ポップカルチャーやファッション、音楽のレジェンド達が足蹴く有名ナイトクラブ「スタジオ54」に通いつめ、ウォーホールのアートスタジオ、The Factory (ザ・ファクトリー)から沢山の伝説が生まれた、まさにニューヨークのポップカルチャー栄華の時代!
そんな時代背景のドラマが面白くないわけがありません。


伝説的有名ナイトクラブ、スタジオ54で踊りまくりのシーン。


ニューヨークに住んでいると、今だに、「ここがスタジオ54の跡地だよ。」とか、「このレストランによくウォーホールが来てたんだよ。」とか、「ここに昔キースへリングが住んでいたんだよ」という話を聞き、80年代の残り香を感じる事が度々あります。「ああ、私ももっと早く、ニューヨークに来て、70年代~80年代のニューヨークを体感したかった!もっと早く生まれていれば!」と何度も悔やんだものです。
私の夫は私より10歳年上のニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちなので、正にニューヨークのこの時代を生きていた人なのでたまに昔のニューヨークの話がポロリと出ると、面白いなぁと思いながら聞いています。

このドラマでは、HalstonがStudio54に足蹴く通う様子も描かれていて、今のクラブでは考えられない奔放で自由で面白い時代だったんだなぁと改めて思いました。


Studio 54 の入口。選ばれた者しか入る事ができなかったという伝説のクラブ。


ライザ・ミネリ、ウォーホールなどセレブリティの社交場。こんな場所は今ニューヨークにはもうない。


Halstonはバーグドルフの帽子のデザイナーから、洋服のデザイナーになり、女性の開放的でシンプルなドレスで注目を浴び、投資家もついてだんだんとビジネスが大きくなっていきます。


この絞り染め(タイダイ)のドレスは、ちょっと日本っぽい感じもしました。タイダイと言えば、サイケデリックなイメージ。


しかし、このドラマはそんな華やかなサクセスストーリーの場面だけでなく、ホルストンが徐々にコカインに溺れる事で判断力を失い、周りの友達や恋人を次々に失い、お金のためにJ.Cペニーからコレクションを出すものの、酷評され、ついには自分の名前のついたブランドからデザインを出せなくなってしまうというファッション業界のビターな面も描いています。



私自身も、規模は小さなジュエリーブランドながらもニューヨークで自分のブランドを持ちながら、お店を構えてファッションに関わる仕事に身を置いている立場ではあるので、このドラマを見ていて、身につまされるシーンや共感できるシーンが度々ありました。

競争が激しいファッション業界の栄枯盛衰。
クリエイティヴとお金のバランスの難しさ。
妬みや嫉妬。
才能がある人の影に隠れてしまう人の辛さ。
輪郭がはっきりしないファッションやアートの価値と評価。

私が今まで見たり体験した事の要素が沢山含まれているストーリーでした。



このHalstonを見ていて思ったのは、アーティストやデザイナーは、クリエイティヴなエネルギーに魂が突き動かされているからか、うまく感情をコントロールできない人が多い様に感じます。
私は、どちらかというと、アーティストにしては珍しく、割とクリエイティヴな面と仕事の面に対して冷静でバランス感覚が良い方で、うまく感情をコントロールできる器用なタイプだと周りから言われたりするのですが、(だから、ジュエリースクールの先生としてもやっていけるんだと思いますが…。)アーティストタイプのアンンバランスで感性のまま生きている奔放な人を魅力的に感じてきました。



このHalstonは典型的な、自己中心的なアーティストタイプです。プライドが高く、周りの意見も聞き入れず、感性のまま生きている様な人。強がっているけれど、不器用で実はとても脆い人。

彼の傍若無人な態度には、見ていて腹も立ちましたが、とてもストレートで魅力的だとも思います。

このドラマを一緒に見ていた主人は私に「君はある意味、ラッキーかもね。自分の好きなものを作って、ちゃんとそれで、お金も入ってきているのだから。誰からもコントロールされるわけでもなく、バランスと取って自分でできる範囲で自由にできているのだから。なかなかそんな風に生きれるアーティストはいないと思うよ。」と言いました。

確かに、多くの有名ファッションデザイナーは最後はスポンサーがついて、大きくなり過ぎて、より大きな利益を追求しなくてはいけなくなり、身動きが取れなくなり結局本当に自分の好きな事はできなくなっていく・・・。というのはよく聞く話です。

数年前に自殺して亡くなったバッグデザイナーのケイト・スペードももしかしたら、同じような事でうつ病になって自殺しちゃったのかなぁ・・・と思ったります。

大きく成功して、世界的に有名なデザイナーになって、名前が知られて、多くの人に買ってもらえて…というのは、デザイナーのみんなの夢だと思います。でも
成功してお金が沢山儲かったからといって、それがデザイナーとしての本当の幸せだとは言えないのだと思います。お金はもちろん大切ですが自分が本当に作りたいもの、良いと思ったものを作り続ける事ができ、それをちゃんと評価してもらえる事が幸せなのかなと思います。

自分のデザイナー人生が終わった時に、後悔しないような選択をしていきたいと思いました。

だんだん暗いモードになってしまいましたが、このドラマはそういったファッションの世界のリアリティを描いていてとても面白いと思いました。昔のエネルギッシュな70年代、80年代のニューヨークを体感したい人にはおススメできるドラマです。5話完結なのであっという間に見られます。主演のユアン・マクレガーが本当に良い演技をしています。



ちなみに、Halstonの元フィッティングモデルでミューズ、親友として出てきたエルサ・ペレッティは後に有名なティファニー専属のデザイナーとして活躍しました。残念ながら、彼女は今年の3月に亡くなってしまいました。このドラマの中で彼女がジュエリーデザイナーになる前の姿や、ジュエリーデザイナーとしての駆け出しのを見れるというのもとても興味深かったです。Halstonの紹介でティファニーのジュエリーデザイナーを始めたというのは知りませんでした。





今では超大御所の言われるジュエリーデザイナーの彼女も、いろんな葛藤の中で生きていたのかなと思いました。


************************************************************************

ブログをフォローしていただける方は、こちらよりブログのフォロー登録ができます。
更新した際にご連絡いたします。
↓ ↓ ↓

ブログの更新お知らせ登録

* indicates required


ジュエリーとニューヨークと私 - にほんブログ村

それから、ブログのランキングに参加しています。もしよろしければポチっと下のボタンを押してください。同じジャンルの別のブログをご覧になる事もできます。どうぞよろしくお願いします。
↓ ↓ ↓

にほんブログ村 海外生活ブログへ 
にほんブログ村 ファッションブログ ジュエリーへ  にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ  にほんブログ村 ハンドメイドブログへ にほんブログ村 ファッションブログへ 

 

投稿者について

ニューヨーク在住のジュエリーデザイナー。在住歴15年。自然をテーマにした自身のジュエリーブランドAyaka Nishiのデザイナー、ジュエリースクールAyaka Nishi Jewelry Design Schoolのインストラクター。イーストビレッジでジュエリーストア兼スタジオ兼ジュエリースクールを運営しています。

おすすめ:

コメントする